更新日:2014年5月1日
猪名川町役場の隣に建つ町立静思館(旧冨田邸)は、今年6月に国登録有形文化財として登録されました。この屋敷は、昭和7年から3年の歳月と莫大な資金とをかけて故冨田熊作氏が建てたものです。昭和59年に町が購入、人々の憩いの場として、また様々な催しの場として使われています。
冨田熊作氏は明治5年上野村(現猪名川町上野)で生まれ、世界的美術商の山中商会などのロンドン支店長として25歳から50歳までを過ごしました。中国陶磁では欧州一ともいわれるバウアー・コレクションは彼の選定によるものです。大正11年に帰国し、京都で古美術商を営みつつ、故郷に農家を模しながらも隅々までその審美眼を光らせた数奇屋住宅を建てたのです。彼の息子健治氏は、近衛内閣の書記官長などとして中央政界で活躍し、戦後は衆議院議員として地元上野から出馬しました。(写真:静思館)