新しく誕生する猪名川町の役場庁舎には中谷村役場の建物があてられ、六瀬村役場には支所が置かれました。新町役場との距離は杉生新田で17キロメートル、柏原からは16.4キロメートルとなりました。中谷村人口4,056人、六瀬村人口3,929人、計7,985人が猪名川町発足時の人口です。
 この時の「業態別生業世帯数（戸）」は、「都市的業態」として、鉱業0、建設業39、製造業117、卸業・小売業173、金融保険および不動産業37、運輸通信その他の公益事業132、サービス業77、公務自由業137、その他86で56.9％を占め、43.1％の「その他の業態」では、農業556、林業24、漁業0、その他24の計1,402戸となっています。
 また、「資本金50万円以上の会社・工場」として、製材業2、寒天製造業5、酒製造業1、土木建築業1が挙げられています。医療機関は、今井病院、貴田診療所、奥山歯科医院、田中医院がありました。文化施設には「中谷図書館」、遊覧施設や休憩所・ボート設備を備えた「屏風岩公園」や各地区の公会堂、中谷、六瀬の両公民館などが掲載されています。
 昭和30年4月10日付神戸新聞では「中谷村と六瀬村が合併して十日から猪名川町として発足する。九日午後一時から（中略）中谷村役場に集り両村の解村式を行い（中略）開庁式は十日午前十時から猪名川（町）役場（中谷村役場）で挙行（中略）これで川辺郡は一郡一町という珍しい郡となった。」と報じられています。

▼中谷村解村式記念写真