令和6年8月6日(火曜日)猪名川町立中央公民館視聴覚ホールで、「第32回猪名川の教育オープンセミナー」を開催しました。今回は、学校園の先生方、保護者、地域の方々合わせて144名の方が参加してくださいました。
この講座は平成19年度から猪名川町教育委員会主催で開催しています。
本講座は、(1)発達障害や特別支援教育への理解を深めること、(2)学校・園や地域・家庭で子どもたち一人一人に応じた支援ができるようになることを目指しています。
今回は、兵庫教育大学大学院 教授 井澤 信三 氏を講師としてお招きし、「自閉スペクトラム症の理解と支援」と題して講演していただきました。
井澤先生の専門は発達障害臨床心理学、応用行動分析学で、さまざまな「研究」「教育」「地域臨床サービス」等に取り組んでおられます。
今回の講演会では「自閉スペクトラム症とは何か」「どのような支援方法があるのか」「行動上の問題の理解と対応について」など、具体的な事例を交えながら、わかりやすく話ををしていただきました。
前半は、自閉スペクトラム症のある子への支援方法と、安心して学校生活を送るための環境づくりについて教えていただきました。その中でも自閉スペクトラム症の子と関わる時には「5W1Hなど情報を明確にすること」「紙や写真、図を使って視覚支援をすること」「ルールの基準をはっきり示すこと」などが大切であると教えていただきました。また、今回は自閉症当事者の方の映像資料も交えながらの講演で、当事者の方の声を聞くことで、本人の困難さについて知る機会となりました。
後半は、学習支援や社会性支援、また「問題」行動を解決するための支援方法について、教えていただきました。「問題」行動を解決するためには
・問題行動が起こってしまう環境を改善する。
・問題行動の代わりとなる行動を教えていく。
・苦手な事柄についてはまず量を減らし、慣れてきたら段階的に量を増やしていく。
などの支援が有効だと教えていただきました。
また、本人の価値観に寄り添いながら、関わることが大切だとお話しくださいました。
今回のオープンセミナーを通して、関わってきた子どもたちの顔を思い浮かべながら、今後の関わり方について見つめ直す機会となりました。そして明日から出会う子どもたちとどう過ごしていくか、子どもたちの将来を見据えて、私たちにできることを考える時間にもなりました。
≪参加者の方からのメッセージ≫
・自閉スペクトラムの子の具体的な対応を教えていただき、大変参考になりました。「穏やかに」接することが、伝えたいことがシンプルに伝わると知り、要らぬ情報をそぎ落として伝えるよう、心がけていきたいと思います。
・あまり接したことのないASDの人への対応や、その人がどう感じてどう考えているのかということがよくわかりました。目の前にいる生徒がどんなことを考えているのだろうと、1度考えてみることが重要だろうと思いました。一人ひとりに応じた対応は難しく、時間がかかることではあるけれど、生きていく力をつけるためには向き合う必要があると感じました。統一的な指導が学校全体で行えるといいと思いました。
・盛りだくさんの内容でしたが、具体的な映像や事例を見せてくださり、目の前の子どもたちが思い浮かび、本人の心の状態が少し理解できたように思います。
・映像で出られていた方の「私なりのやり方でさせてほしい」という言葉がとても印象的でした。皆同じように、ではなくそれを認め合えるような環境で生活できるようになればと感じました。また、この場合はこうする、などの伝えていかないといけないこともあると、改めて感じました。
・日々関わっている幼児の行動の理解につながり、改めて関わり方、支援の方法を考え直すきっかけになりました。なんで?と思う行動が実はこういうことだったのかという気づきもあり、大変勉強になりました。ありがとうございました。
これからも猪名川町一人ひとりの子ども達が、自信をもって過ごせるあたたかい町となるよう、これからも皆様と一緒に本町の特別支援教育を更に充実させていきたいと思います。
皆様との出会いに感謝いたします。