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第34話 銀山役人の正月

更新日:2014年5月1日


元治2(1865)年正月から書かれた1冊の日記があります。江戸幕府最後の銀山役人秋山良之助数え年47歳の日記です。
最盛期には戸数3000軒といわれた多田銀銅山も衰退し、銀山町在住役人は秋山1人。4月には慶応と改元されるこの年、月末には動乱の記事も記載し、世の動きにも眼を向けていた彼ですが、日記に残る正月は古式を守り、信心深く、家族揃って祝膳を囲む穏やかな正月でした。元日は神棚に献灯、年頭の互礼や役所での祝詞、初詣と家族での昼節会。2日は様々な初め事、夢始めには一富士二鷹三茄子の折船を用意、3日は妻に2万円弱(現代に換算)子供に8千円、5千円の祝儀を渡し、7日七草粥、8日鏡開きと節分、12日初申、14日とんど、16日仕事始めと続きます。
彼の初詣先で現存するのは銀山の金山彦神社と甘露寺ですが、年頭礼には善福寺(原)、最徳寺(広根)、安養寺(上野)、甘露寺(川西市)があげられています。(写真:金山彦神社)

《読み方》
元治=げんじ、秋山良之助=あきやまりょうのすけ、数え年=かぞえどし、改元=かいげん、古式=こしき、祝膳=いわいぜん、互礼=ごれい、祝詞=しゅくし、初詣=はつもうで、昼節会=ひるせちえ、初め事=はじめごと、夢始め=ゆめはじめ、一富士二鷹三茄子=いちふじ・にたか・さんなすび、折船=おりふね、祝儀=しゅうぎ、七草粥=ななくさがゆ、初申=はつさる、金山彦神社=かなやまびこじんじゃ、甘露寺=かんろじ、年頭礼=ねんとうれい 

(写真)金山彦神社

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