林田隧道が土木学会選奨土木遺産に認定されました
公益社団法人土木学会が認定する令和6年度の選奨土木遺産に町道木津林田線の林田隧道が認定されました。

林田隧道(はやしだずいどう)とは
林田隧道は、1883年(明治16年)に摂津・丹波間の交通の難所を解消するため建設され、石造りの坑門を有し、現在も道路として使用されているものの中では日本最古の隧道と言われています。
規模および構造形式について
規模
延長90.5メートル、幅員3.6メートルうち車道幅3.1メートル、高さ2.8メートル(有効高2メートル)
構造形式
石積区間延長4.5メートル+7.8メートル(総切石造り)
ボックスカルバート区間延長9.68メートル(鉄筋コンクリート)
覆工アーチ区間延長68.52メートル(鉄筋コンクリート+鋼製支保工)
来歴
1883(明治16)年:竣工
1984(昭和59)年:ボックスカルバート継足・覆工コンクリート設置などを改修


旧川辺郡柏原村の福井伊之助氏が、工事費1,175円で請け負ったが、岩盤の硬さや一部軟岩の崩壊などで大変な難工事となり、予想外に工事費がかさみ、工事費の不足は柏原の人達が私財をすべて投げ打って完成させたもので、明治の隠れた偉業と言われている。
竣工当時は素掘りで、崩れやすい坑門付近だけ石で巻き立てられていたが、後年、内部(素掘り部分)は覆工コンクリートで巻き立てられ、東側坑門は外側にボックスカルバートが継ぎ足された。
このため、別称「くろまんぷ」の元となった岩肌は、現在コンクリートで覆われて見えないが、周囲の様子から当時の苦労を偲ぶことができる。また、東側坑門については、継ぎ足されたボックスカルバートの内側に当時の石積がそのまま残されている。
石積みでできた隧道で現在も道路トンネルとして使用されているものの中では、日本最古と言われている。
明治初期に最古の和製煉瓦トンネルとして掘られた旧逢坂山トンネルとほぼ同時期に完成したもので、自力でトンネルを完成させた福井伊之助氏の技量は土木学会に評価され、このたび認定されました。
土木遺産として楽しむワンポイント
主要地方道川西篠山線は、古くから摂津と丹波を結ぶ道として利用され、人々の暮らしを支えてきたが、元々細く曲がりくねった道のうえ、途中に交通の難所がいくつかあった。なかでも林田地内にはけわしい丘陵が道をさえぎっており、旅人たちが難儀していたという。
このため、トンネルを抜こうという計画が持ち上がり、林田地内の津坂道路を改修することになりました。
石積にはやや緑色がかかった凝灰岩と思われる石材が使われており、当時現地でよく採取されたものと推察されます。
また、石積みは高さ約25cmの切石を路面から布積みにして、頂部まで同じ大きさの石が使われておりいます。
通常石造りのトンネルとは異なり、側壁部とアーチ部に差異は見られないとてもユニークな構造となっています。
通常トンネルは直線的で無機質なイメージですがトンネルの線形がうねった形となっており、固い岩盤の所を出来るだけ避けるようにして掘ったのではないかと推察されます。
このことで、かえって躍動感のある美しい風景を醸し出しており、”いながわ名所八景”の一つとして紹介され、バイク、自転車のツーリングで訪れる人も多い施設です。
土木学会選奨土木遺産とは
土木遺産の顕彰を通じて歴史的土木構造物の保存に資することを目的として、平成12年に土木学会が認定制度を創設しました。
推薦および一般公募の中から選考されるものです。
地図情報
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更新日:2024年11月28日