令和3年7月21日（水曜日） 猪名川町中央公民館 視聴覚ホールで、「第29回猪名川町特別支援教育公開講座」を開催しました。

  この講座は平成19年度から猪名川町教育委員会主催で年2回開催しています。
  本講座は、（1）発達障害や特別支援教育への理解を深めること、（2）学校・園や地域・家庭で子どもたち一人一人に応じた支援ができるようになることを目指しています。今回は、学校園の先生方、保護者、地域の方々が参加してくださいました。

  今回は、大阪リハビリテーション専門学校 作業療法士 丸田 千津さんを講 師としてお招きし、「発達障害のある幼児児童生徒の感覚運動アプローチ～感覚統合の視点から～」と題して講演をしていただきました。第26回の公開講座でもご講演いただき、多くの方から丸田先生の講演をもう一度お聞きしたい！というお声が多くあり、2回目の講演を開催することになりました。

  丸田先生から、「作業療法とは何か？感覚統合とは？」「感覚統合の視点から子どもの行動や特性をどのように捉えるか」そして具体的な支援方法についてわかりやすく丁寧にお話をしていただきました。

  前半は、感覚統合の3つの原則として「 1. 感覚は脳の大事な栄養。 2. 感覚入力には交通整理が必要。 3.感覚統合によっておこる適応反応を引き出す。」ことが大切であると教えていただきました。その中でも脳にあたえる大事な3大栄養素として触覚・前庭覚・固有受容覚の感覚の役割の重要性についてひとつひとつ丁寧に教えていただきました。今回は、愛着についてのお話も具体的な内容や事例を入れながらお話くださいました。

  後半は、丸田先生が出会ってこられた子ども達の姿から、具体的な事例をあげていただき、どのような方向からアプローチすることが必要かを示してくださいました。感覚刺激に対して過剰に反応する子ども、不器用な子ども、発達障害をもつ場合、どこの感覚からアプローチが必要であって、「決して無理強いはしていけないこと」「前向きなあきらめも大切」「その人を理解しその人の立場で考えること」等を参加者に向けてメッセージを送っていただきました。そして、子どもは子どもたちの遊びの中でたくさんの感覚が育つことも改めて伝えてくださいました。

  この講演を通して、子どもと関わってきたこれまでの日々を振り返りながら、子どもへの関わり方を見つめ直すことができました。そして明日から出会う子ども達とどう過ごしていくか、将来を見据えて私たちができることを考える時間にもなりました。

≪参加者の方からのメッセージ≫

〇先生が生活を構成する上で、遊び・余暇活動を持つことがとても重要だとお話されたのが印象的でした。人生が潤いのあるものになる為に、各々の楽しみ、好きなものを見つけられるようにしておかないといけないなぁと思います。発達障害の子ども達には、色々な面で注意する事が多くなりがちですが、1つ1つの行動についての指摘ができていたか、人格の否定にあたるような声かけはなかったか、今一度振り返ってみようと思います。

〇日頃の支援を思い浮かべてお話に耳を傾けさせていただきました。子どもの行動にはすべて理由・原因があること、改めて認識した。支援に取り込みたいと思います。

〇地域での生活、日常の学校生活の中で、実際に力を発揮できることを目指して支援を目指してこられたことをきいて、私も同感だと思いました。
特別な環境や分けた場でのともに生きることを目指しての特別支援教育であるべきと思います。
同じ考えの上での専門的なアドバイスを聞かせていただけて、大変勉強になりました。
簡単に解決できることではないことが多いなと感じました。全部できなくても「前向きな諦め」をすることも必要なことも聞いて少し気が楽になりました。

〇作業療法についてあまり知識がありませんでしたが、今日のお話は具体的な実話をもとに、よくわかりました。余暇の過ごし方が問題（大切）ということは、今まで考えなかったことですが、新鮮な思考、発想でした。

〇知らない事ばかりで、すごく為になるお話が聞けて良かったです。是非、次の講演も計画して欲しいと思います。

  会場にいる皆さん一人一人に対して、大切なメッセージを送っていただきました。
  これからも猪名川町があたたかい町でいられるように、そして、一人一人の子ども達が、自信をもって過ごせるせる環境になるように、これからも皆様と一緒に猪名川町の特別支援教育を更に充実させていきたいと思います。
  皆様との出会いに感謝いたします。