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第106話 近代猪名川の漁業

 一庫大路次川など多くの支流を合わせて、下流は神崎川となる猪名川は、木材の流送や鮎を主とする漁場として経済性の高い川でした。
 明治8(1875)年、太政官布告第23号が出され、村ごとに水面利用の漁税を負担することとなりました。町域では上・下阿古谷村と紫合村が年額各5銭、猪渕・差組村8銭、万善・南田原村10銭、北田原・柏梨田村15銭、原村50銭、上野村70銭という記録があります。漁場は一村の「専漁場」と共同利用の「入会漁場」の二種がありました。
 明治34年には漁業法が制定されて、専用漁業の免許が必要となりました。
 大正7(1918)年の中谷村では漁業戸数は11戸(本業6戸、副業5戸)とありますが、8年・9年には本・副業とも各1戸となり、9年の漁獲高は鯉42貫、鰻14貫、どじょう6貫、川蟹5貫、その他14貫余で計416円となっています。名産の鮎の記録がないのは、池田村下流での漁法が変わり成長鮎の遡上が減少したことによるもので、この頃から琵琶湖鮎の放流が始まりました。

《読み方》
一庫大路次川=ひとくらおおろじがわ、神崎川=かんざきがわ、流送=りゅうそう、鮎=あゆ、漁場=ぎょじょう、太政官布告=だじょうかんふこく、上・下阿古谷村=かみ・しもあこたにむら、紫合=ゆうだ、猪渕=いぶち、差組=さしくみ、万善=まんぜん、柏梨田=かしゅうだ、一村=いっそん、専漁場=せんぎょじょう、入会=いりあい、漁獲高=ぎょかくだか、鯉=こい、貫=かん、鰻=うなぎ、川蟹=かわがに、遡上=そじょう、琵琶湖=びわこ、放流=ほうりゅう

(写真:豊かな猪名川の流れ)

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