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第151話「長寿のご褒美」

 

先月イナホールで行われた「敬老会」には570人が参加し、楽しいひとときを過ごしました。
さて、『健康長寿のまち猪名川町』ですが、今からおよそ150 年前に長寿を祝って江戸幕府の役所から褒美をもらったことが記された文書が町北部に残されています。

()()元(1860)年11 月付のこの文書は宛先が書かれていませんが、内容からみて猪名川町域を管理していた高槻役所に宛てて書かれた書状の写しとみられます。それによると、「藤助という人の祖母・元が長寿であることの褒美として「青銅()1()500 ()(注)」をもらったこと」、「村人や村役人たちも喜び、村のために各戸が負担する労役を免除したこと」、「これは大変ありがたいことと祖母も大喜びし、これからも養生に励む」ということが書かれています。そしてそのお礼を藤助が書き、村役人たちが添え書きをしています。

ここには祖母の年齢は書かれていませんが、澄んだ空気と清流猪名川に囲まれた当地域は長命の人も多かったようです。たとえば現代の戸籍簿にあたる「()別帳()」を見ると元禄()3(1690)年の木津村の最高齢は78 歳と77 歳のご夫婦です。天明()4(1784)年の()()村では、50 代が18 人、60 代が22 人、70 代が7 人で最高齢は79歳男性です。江戸時代は乳幼児死亡率がとても高く平均寿命は20 代とも30 歳位ともいわれているのですが、無事に成人した人はおおむね60 歳前後で世を去ったようです。有名人では松尾芭蕉()は50 歳で亡くなり、伊能()()()は50 歳で隠居し73 歳で亡くなっています。猪名川町を訪れたことのある木喰()明満()上人()は93 歳の長命でした。元さんももしかすると90 代だったのかも知れません。

 

《注釈》

(注)銅と()の合金。()を青銅という場合があり、ここでも1 貫500 文とあるので銭を拝領したものと思われる。幕末の1貫500文は現代の約7,500 円に相当する。

《読み方》

褒美=ほうび、万延=まんえん、青銅=せいどう、貫=かん、文=もん、人別帳=にんべつちょう、元禄=げんろく、天明=てんめい、民田=たみだ、芭蕉=ばしょう、伊能忠敬=いのうただたか、木喰明満上人=もくじきみょうまんしょうにん、錫=すず、銭=ぜに

▼敬老会での高齢者表彰

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