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第154話「静思館でお茶を」

 

国登録有形文化財の猪名川町立静思館は重厚な建築はもちろんですが、庭園にも様々なみどころがあります。町道に面し、番小屋()のある外門()から長屋門()表門())までのアプローチを行くと、両側には植え込みが続きます。

長屋門の前では大きな朝鮮半島風の虎が私たちを出迎えてくれます。これは国産の石を使って彫られた物ですが、左手の山の斜面を利用した回遊式庭園には半島製の「()()(注1)」があり、「望柱石(注2)」を灯籠に仕立て直した物の名残りがあります。

長屋門前に戻ると左手にはかつて水を流すことのできた滝があり、門前を川に見立てて右手には橋の欄干があります。その横にある巨大な雨水タンクは、冨田熊作氏の子息健治氏が社長を務めた「()琺瑯()」製の物です。門をくぐり左手にまがると小さな建物があります。屋根と腰掛けだけのこの建物は「供待()ち」といい、来客に付き添って来た人や庭園などの手入れをする人たちが休憩をする場所です。ここも太さや節の長さを揃えた竹で天井が作られており数寄屋()造りになっています。

右手の()()を入ると茶室などへと続く露地です。外国からの来客も多かったこの屋敷には、茶室の一部に石畳の立礼席()(注3)があり、シックな椅子と机が置かれています。静思館の見学は無料(休館日あり)で、どなたでも茶室などの利用は可能です(有料・要申込)。お茶会を開かれたり、広い座敷で静寂を味わいながらお手持ちのお茶を召し上がったりと、多忙な日常から離れて日本建築の温かみに触れてみられてはいかがでしょうか。

 

《注釈》

(注1)朝鮮半島墳墓用の飾り物の石を彫った羊
(注2)注1と同様の柱型の石
(注3)椅子と机を使う茶の湯の点前

《読み方》

番小屋=ばんごや、外門=そともん、長屋門=ながやもん、表門=おもてもん、石羊=せきよう、望柱石=ぼうちゅうせき、旭琺瑯=あさひほうろう、供待ち=ともまち、数寄屋=すきや、庭塀=にわべい、立礼席=りゅうれいせき

▼静寂を味わえる茶室

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