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第132話 「天保13年の節約術」

 4月からは消費税が8パーセントになります。「節約しなくっちゃ。」とお考えのご家庭も多いのではないでしょうか。
 今から約200年前、水野忠邦を中心として天保12(1841)年に始められた天保の改革を受けた天保13年2月(新暦3月)の「組合村々立会倹約定」が仁頂寺村に残されています。当時の農村の荒廃や物価高騰を抑えるために、贅沢を禁止し風俗を正すという幕府の意を受け、その取り決めは細部にわたっています。
 「季節の贈答品は手軽く、購入品は禁止」「神事・祭礼などの際、俄・狂言、踊、相撲、花火などはしない」「歌舞伎、操浄瑠璃、見世物類は禁止」「男女とも普段は雪踏、奈良草履、表付下駄、革鼻緒下駄は禁止」「婚礼や祝事も手軽く、神事祭礼事等来客時も質素にし、食物等も購入してはいけない」「服装も織物・縫物・ビロード・縮緬等は端切れも使ってはいけない。女性の髪飾りに鹿の子・縮緬他は禁止、櫛・笄・簪も同様」「煙草入れ・紙差し・煙管等も金銀の使用厳禁」「みだりに飲酒、集会での酒食はしない」「神社仏閣へ参詣時も土産物のやり取りはしない」などです。もし違反すれば役所へ届け、指示を仰ぐということでした。
 天保の改革は、江戸幕府や諸藩が行った財政と支配体制立て直しのための改革でしたが、幕府の改革は反発・抵抗が多く失敗に終りました。しかし、長州・薩摩・土佐などでは、新たな人材の登用をもって改革が成功し、この経済的基盤の確立によって、幕末の政局が左右されていくこととなりました。

《読み方、注釈》
忠邦=ただくに、天保=てんぽう、組合村々立会倹約定=くみあいむらむらたちあいけんやくさだめ、贅沢=ぜいたく、俄=にわか、狂言=きょうげん、踊=おどり、相撲=すもう、歌舞伎=かぶき、操浄瑠璃=あやつりじょうるり、見世物=みせもの、雪踏=せった、草履=ぞうり、表付下駄=おもてつきげた、革鼻緒=かわはなお、縮緬=ちりめん、端切れ=はぎれ、鹿の子=かのこ、櫛=くし、笄=こうがい、簪=かんざし、煙草=たばこ、紙差し=かみさし、煙管=きせる

(写真:当時使用されていた簪 )

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